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間質性肺炎における急性増悪の知見

間質性肺炎の急性増悪を経験したので以下共有いたします。

経緯
10月初旬胃腸炎となる。1週間前後で回復、因果関係不明であるが体力的にかなり消耗した。
11月初旬、空咳が目立つ様になる。もともと咳き込むタイプではなかったのだが急に始まった感じ。
     合わせて痰に赤から茶褐色の差し色が入るようになる。
     透明なべちゃっとした痰から、少し黄色味を帯びたコロコロした痰に変わったのもこの頃。
11月中旬、航空機を利用して長崎へ旅行。羽田前泊の計3泊4日。
     CPAPの備品を1点忘れたため期間中使用できず。
     旅行中は妙に疲れやすく、すぐ息切れがしたため酸素発生機の使用時間が長くなる。
     バッテリーが心配なので、酸素ボンベの方が良い様な気もするが中身が無くなれば同じ事なので
     まだ充電できた方がある意味ましかもしれない。
     ある程度の規模の病院に申し出れば、電源や酸素ボンベを用意してくれるかもしれない。
     往路復路ともに機内では酸素が低下、下がる前から酸素発生機を稼働させておいた。
     無事帰宅、発熱など呼吸器感染症の兆候は見られなかった。
11月下旬、定例外来日にてスパイロ検査他実施。医師に即報告するレベルに近い低下を示す、状態が悪い。
     レントゲン、CTにスパイロの結果をもとに診察。明らかな急性増悪を認めた。
     即入院を勧められたが、何の準備もしておらず家内も遠方の為1度戻ることを決断。
     翌日もうひとつのクリニックを受診し帰宅、この時の息苦しさはいつもと同じで変わらなかった。
11月下旬、準備して病院へとんぼ返り。嫌な予感がしたので電車ではなくタクシーで大宮駅に向かう。
     お金はかかったが、こんな時にインフルだの何だのともらうわけにはいかないので大事をとった。

入院
11月21日、入院。早々にラクテックドリップ。その後ソルメドロールによるステロイドパルス開始。
11月22日、ラクテック+ソルメドロール 血糖がガッツリ上がり目がさえて夜眠れない。
11月23日、ラクテック+ソルメドロール 夜眠れないので昼間うとうと。睡眠のリズムが崩れつつある。
11月24日、ラクテック+ソルメドロール
11月26日、ステロイド離脱、ラクテック+エンドキサン 懸念していた1型アレルギー無し。
11月27日、経過観察。エンドキサンは体表面積で投与量が決まるのだが、私の場合途方もない投与量となった
     ため、80%にて投与したことを知る。生まれついてのものなので仕方がないが、体重も標準に近い方
     が良いと思った。
     更に筋肉も多いので腎機能もかなり過小評価されてしまって、CKDのG3b期~G4期の値で推移。
     異なる指標であるクレアチニンクリアランスで体重身長を加味すると、ほぼ健常人と同じ。
     だとしても、腎臓への影響は極力減らしたほうがいいのでこのままいくことにする。
11月28日、経過観察
11月29日、経過観察
11月30日、経過観察
12月 1日、経過観察
12月 2日、レントゲン+血液検査
12月 3日、血液検査追加
12月 4日、経過観察 血液検査の結果を知らされる。
12月 5日、退院、ムンテラ時に病状の説明を聞く。肺機能累計40%喪失との事。移植を強く勧められる。

考察
急性増悪に関する各種血液検査のデータとしては、代表的なKL-6はベースである800台をキープ。
これは変化がないのではなく、測定した日から約1か月前の値となるため、急性増悪前の値と推察され、次回入院時に反映した値になると思われる。比して、比較的早く反映するSP-Dは300近くに跳ね上がっていた為、明らかに炎症とリンクしていた。
呼吸機能が低下すると心臓に負担がかかる事はよく知られている。心肥大から弁膜症、そして心不全へと数年かけて推移する。反映する項目としてBNPがあげられるが、測定限界値以下であった。
血液凝固については、PT、APTTともに清浄であったが、Dダイマーが若干上昇していた。これは急性増悪に伴う炎症が反映した可能性が高いが臨床的に問題となるレベルではない。
腎臓については、日本の臨床現場ではeGFRが多用されている。非常に簡便ではあるが、個体体重が年齢の標準のものとして固定されているので、大幅に上振れしている個体は過小評価され、逆に下振れした個体のそれは過大評価される傾向にある。可能であれば、95%タイルから逸脱するような場合シスタチンCやCockcroft-Gault式にて求められる、クレアチンクリアランスにての再評価をお願いしたいところ。

まとめ
胃腸炎から始まった体の不調。これが関係していると断定はできないが、今回の急性増悪のスイッチではないと明確に否定はできない。連続した一連の流れとして捉えると、急性増悪を来したまま航空機に乗り、長崎へ旅行し歩き回ったことになる。極力タクシーで移動はしたが、旅行を中止するという判断も含めもっと前に注意を払い、対策を講じるべきであった。
CPAPによる睡眠時の乾燥予防も有効ではなかったので、使い慣れている状態から使えない状況になった落差も関係しているのかもしれない。まさにイージーエラーである、備品のチェックと予備の保有を検討したい。
普段とは違う状態。この判断は難しいもので、その時の気分に左右されることも多い。数値で出るSPO2を絶対指標とし酸素が低下する速度、回復に転じるタイミングの差異などを絶対視することをおすすめしたい。
あれ、いつもより息苦しくなるのが早いぞ、又は息苦しい程度がきついぞ、などの諸症状が現れたらまず主治医に連絡を。正確な指示を仰ぐためにも、いつから始まったのか、酸素が落ちる速度や感じる息苦しさが○○割増し、など医師が判断できる材料を多く用意する事も、救命に繋がる第一歩である。

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